おじいちゃんの字 [3/17]
3/17
私(はるまきママ)の父の命日によせて
真葵が幼稚園に行っているときを見計らって、こそこそと裁縫道具を広げることの多い私。
だって、真葵が一緒だと
「ママ、これなーに?」
などといいながらボタンをばら撒いたり・・・・・ハサミや針も、4歳児には凶器だからね。
でも先日は真葵が帰って来る時間までに片づけが間に合わず、裁縫道具が出しっぱなしのままお迎えにいってしまいました。
案の定、家に戻って裁縫道具が出しっぱなしになっているのを見つけた真葵は興味津々。
「何作ってたの~? 真葵の?」
といいながら、裁縫道具を覗き込んで・・・・・・・
「あれー? これ、なんでおばあちゃんのお名前が書いてあるの?」
「・・・・・・・おばあちゃんの名前?あぁ、そうか・・・・・」
そう、裁縫道具には私の旧姓(=おばあちゃんの苗字)が書いてあるのです。
裁縫箱だけでなく、糸きりバサミ、裁ちばさみ、布にしるしをつけるチャコペン、そして待ち針の一つ一つにも、小さく苗字が刻まれているのです。
この裁縫セットは、私が小学校の家庭科で買ってからずっと使っているのでかれこれ20年以上のお付き合い。
20年前には、今のようにパソコンもなく、自分で”お名前シール”なんていうものを作ることもない時代だったので、学校で購入したものの記名はすべて父の手書きでした。
達筆だった父は、春になると子供の学用品の宛名書きをしてくれました。
待ち針の一本一本にまで名前を書かなければいけない、という地味な作業に父は明らかに『渋々やっている』という感じでしたが、それでも丹念に一つ一つの持ち物に記名をしてくれたのでした。
新学期を迎える頃には、何かしら「お名前書き」をしなければいけないものがあるものです。
教科書、算数セット、書道道具、絵の具セット・・・・・・・
そして、いつも父は『渋々』ながらも、一つ一つ丹念に名前を書いてくれたのでした。
父が名前を書いてくれた道具を持っていくと、友達は
「すごい、これ判子?」
「印刷したみたいだね」
と父の字をうらやましそうに見つめるのでした。
父が書く字は、本当に印刷でもされているかのような、正確なお手本のような字だったのです。
友達にそれを指摘されるたび、誇らしいような、照れくさいような気分になったのをふと思い出しました。
「ママ、おばーちゃんのおうちから(裁縫道具を)持ってきちゃったの?」
ママも昔はおばあちゃんと一緒の名前の時があったんだよー、と説明するのはまだ難しいかと思い
「あはは、ごめーん!持ってきちゃったんだよ~」
と笑うと、真葵は
「持ってきてもいいの~?ダメじゃないの??」
と不思議そうな顔をしています。
「いいの、いいの。 これはおじいちゃんとおばあちゃんにちゃんと貰ったんだから。
このお名前ね、おじいちゃんが全部書いてくれたんだよ~ 」
真葵の興味はもうTVの幼児番組に移ってしまい、ふーん、とだけ言い残して去っていてしまいました。
もう少ししたらわかるのかな?
真葵のおじいちゃんはね、とっても字が上手だったんだよ・・・・・
実家から遠く離れてしまった我が家には、亡き父の物はほとんどありません。
でも、こんな意外なところに父が残したものがあったのだ、と気がつきながら裁縫道具を片付けたのでした。
裁縫箱、買い換えようかと思っていたけれど・・・・・やっぱりもうしばらく大事に使うことにします。
父が亡くなったときに『小学校の卒業式だ』といっていた甥・姪も、昨日までに無事進路が決まり春からは高校生になります。
一番年上の姪っ子は、社会人になるためもうすぐ研修が始まるそうです。
成長してゆく孫達の姿を見て、父も天上で笑いながら祝杯を挙げていることでしょう・・・・・・・
以前『真葵とじいちゃん』を読んだ時もそうでしたが、今日のお話も読んでいて胸が熱くなりました。元から涙もろい方ですが、妊娠してからはより一層涙もろくなってしまって(T_T)
最近、実父に対してキツい態度をとってしまってるので、もっと優しくしなくちゃと思いました。
by ぢっかー (2006-03-17 22:11)
私の持ち物にも、父が名前を書いてくれたんだっけ、と思い出しました。
女の子だからか、丸文字みたいに書いてくれて、うれしかった。
というのを思い出して、じーんとしちゃいました。
裁縫箱を大切に使い続けてるはるまきママさんも、素敵です。
by nikukyu (2006-03-17 23:18)
とってもいいお話、ありがとうございます!
本当の意味でのnice!を押させていただきました。
お裁縫道具、買い換えたりしないでずっとこのままでいてほしいなぁ~と思ってしまいました。
by まい (2006-03-18 04:05)
うう、、、はるまきママさんのしんみりした記事って繊細で、どうにも心が締め付けられますね。淡くて切ないけれど、でも良い話で微笑んじゃう。みたいな。
またやられました。清々しい気分にさせて頂きました。
そうだ。ワタシの持ち物も全部母が名前書いてたなぁ、、、。
by nal (2006-03-18 09:47)
最後の写真にぐっときてしまいました。いいお話ありがとうございます。はるまきママさんのそういう気持ちを、きっとまきちゃんも受け継いでいくのでしょうね。その裁縫セット、いつまでも大切にしてください。そして、まきちゃんへ譲り渡して欲しいな~と勝手に思ってしまいました。
by momosuga (2006-03-18 14:47)
ウルウル・・・ステキなお父様だったのですね!
ボクのママの持ち物は、全ておばあちゃん(ママのママ)が書いていたそうですが、あまり字を書くことが得意ではなく、ママにはそんな思いをさせまいと、小さなときからお習字に通わせていたそうです。
お裁縫道具・・・大切になさってください♪
by (2006-03-19 01:27)
そうですよね。前は全部手書きだった。。。
お父様が書かれた字、はるまきママの宝物ですね(^^)
字ってひとつひとつに気持ちが入ってる・・・
大切な裁縫セット。。真葵ちゃんが「分かる」ようになった時にお話ししてあげてくださいね。。
by (2006-03-19 03:37)
>ぢっかーさん
1年前の記事も読んでいただいていたんですね~。
”3・17”の記事は、いつもとはかなり違う感じなので、改めてカテゴリを作ってみました。
(っていうか、カテゴリーをもうちょっと増やして記事を整理したいんですけど…)
妊娠してから涙もろくなるの、よーくわかりますよ。^^;
>nikukyuさん
丸文字で書いてくれたんですか?!
優しいお父さんなんですねぇ~。^^
>まいさん
裁縫道具を買い足したりして徐々に増えてきて、もう蓋が閉まらないので大きな裁縫箱が欲しいんですけどねぇ~~~。
裁縫箱を新調しても、古いほうも使い続けると思いますけどね。^^
>nalさん
あと何年かして、Rくんが幼稚園に入園する頃に”お名前かき”やら入園準備をするときに、またお母さんの手書きの名前のことを思い出しますよ。
でも、今時は幼稚園が書いてくれたり、お名前シールも簡単に作れちゃいますからねぇ~。
今時のお子様には、こんなお話はわかってもらえないんだろうなぁ~~~。
>momosugaさん
・・・・・真葵の幼稚園のお道具、ほとんどが先生の手書きや幼稚園で準備されたお名前シールがついてるんです。(^_^;)
おかげで私は”お名前書き”の呪縛からは今のところ開放されてます・・・・・
もう少し大きくなったら、この裁縫セットを使って二人でチクチクできたらなぁ~、とは思っています。^^
>たきゅたきゅさん
そういえば、私も「字が上手なのは財産だよ」と言われた記憶が・・・・・
でも、大人になってもいっこうに字が綺麗じゃないですけど。(-_-;)
お裁縫セット、まだまだ現役で使い続けます♪
>ラムタラさん
昭和の子供は、みんな手書きのものを持たされていましたよね~。
(お名前シールつけてきている子なんて、昔はいなかったような気がするんだけど…)
真葵が『わかる』日が来るのか・・・・・今時は手書きのありがたさって伝わりにくいですからね~。
by はるまきママ (2006-03-20 10:49)
そういえば私のお裁縫セット、どこへ行っちゃったのかなあ…、とふと…。
いろいろのどたばたで、なくしたのかな?
字には、魂がこもってますよね。そのお裁縫セットと一緒に、お父様が生きてるんですね。
by 斉藤ようこ_nina (2006-03-22 22:41)
とっても優しい素敵なお父様だったんですね・・・。
まきちゃんにも凄く分かる日が来ると思います・・・。
だってまきちゃんの中にもおじいちゃんはいるのですから・・・ずっと繋がって。
by はる (2006-03-23 11:01)
今回の記事は、とてもジーンと来ました。
思い出のお裁縫箱は、たとえ買い換えても、大切にしまって置かなければなりませんね~
by albireo (2006-03-25 10:51)
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by Matbreabe (2020-01-17 02:23)